美容皮膚科・皮膚科
クレド岡山

Treatment

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多血小板血漿療法(PRP):血小板注射

多血小板血漿療法(PRP):血小板注射は、ご自身の血液を利用した再生医療です。歯科や整形外科でも治療に取り入れられていますが、美容皮膚科では老化によるしわやたるみを視覚的に改善する組織増大術に用いられています。血小板注射は以下に大別されます。

PRP単独療法
小じわの治療や軽い張りを出す処置に相当します。治療効果は1年程度です。
成長因子添加PRP療法
当院で最も多くの方が治療を受けられています。小じわから深いしわ・たるみまで多岐に亘って改善が可能です。治療効果は3年程度見込めます。肌の再生が強力に生じると言う点において、人工的な注入治療と仕上がりが決定的に異なります。

治療の流れ

  • 当院にご来院頂きカウンセリングの後、採血を行ないます(1キットでおよそ8ml程度ですので、身体への影響はほとんどありません)。
  • 治療希望部位に麻酔テープを貼付し、30分程度お待ち頂きます。この間専用キットと遠心分離機を用いて、血液から細胞増殖に必要な成分のみ濃縮抽出します。成長因子添加PRP療法の治療ではこの際に別途、細胞成長因子を添加します。
  • 準備が整い次第、ご希望の部位に抽出成分を注入していきます。注入手技はヒアルロン酸注入に準じています。
  • 一時的な針跡や内出血、治療部の腫れや触った時の軽い痛みが生じる可能性がありますが、通常数日から1週間程度で落ち着きます。
  • 注入自体の効果で治療部位はふっくらしますが、約3ヶ月間に亘り組織増大が持続的に引き起こります。よって最終的な治療効果の確認は3ヶ月後になります。

主な治療対象

  • 目の下の凹み
  • 法令線や口周りのたるみ
  • 額やこめかみの凹み等
  • 上まぶたの凹み
  • 痩せた唇をふっくらさせる
  • 額、眉間、目尻、まぶた等のしわ
  • 頬やフェイスラインのリフトアップ
  • ざ瘡(ニキビ)瘢痕(深部の萎縮性タイプ)
  • 薬物療法に抵抗性の頭部脱毛症(進行した方に限る)

治療に際して

血小板注射は成長因子の添加の有無で、治療効果が大きく異なります。また、作成キットも多岐に亘り、治療のネーミングも様々です(当院でもこれまではセルリバイブ・セルリバイブジータと呼ばれる一連のシステムを活用しておりました)。今後も治療の発展が見込める分野ですので、新しい理論や手法を積極的に取り入れていきたいと考えております。

当院の治療実績

  • 当院における多血小板血漿療法は、2008年の開始以来、2023年末で延べ3,100例となっております。
  • 血小板治療は厚生労働省の許可の下、治療実績も含め、有害事象に関する報告を管轄の厚生局に毎年行なっております。届出以降、重篤な副作用は1例も起こっておりません。

安全な治療への取り組み

血小板注射は、作製法、成長因子(bFGF)の配合濃度、注入手技、及び注入間隔といった条件に十分配慮しなければ、組織の過形成を生じやすい事が、基礎研究・臨床報告から明らかになっております。当院でも、初期のセルリバイブジータ治療において、マニュアルに則った治療を行ったにも関わらず、このような不具合を僅かに生じたケースを、少数ですが経験しました。

当院では、このような合併症を"全く"起こさない事を前提とした治療を行うため、血小板治療研究会に参加して、他の諸先生方からアドバイスを頂き、以下の取り組みを"必ず"行っております。

作製法
過形成は血小板をゲル化(組織内で拡散しない状態になります)させる事で、起こり易くなると考えられています。よって、当院の血小板注射は、ゲル化を一切生じない形で治療を行っております。
成長因子の配合濃度
成長因子の配合濃度が高すぎると、過形成(特に皮下脂肪)のリスクは増します。当院の配合濃度は、研究会で推奨されている安全濃度を遵守して治療を行っております。
注入手技
1カ所当たりの注入量が多過ぎた場合、ヒアルロン酸治療同様、予期せぬトラブルが起こる可能性もあります。当院の治療は、血小板を糸状(薄い面状)に注入する事で、このようなトラブルを回避しています。また、部位当たりの注入量に制限を設け、決して無理の無い治療を行います。症状の強い方は、複数回に分割した治療を考慮して頂きます。
注入間隔
他施設で、短期間(1~2ヶ月)の繰り返し治療によるトラブルが報告されています。当院では、同一部位の再治療は最低9~12ヶ月、必ず空けて頂いております。

以上、1~4の取り組みを全て徹底する事で、僅かでも不具合を訴えられる症例は無くなりました。 今後も、このような取り組みをきちんと行う事で、血小板注射の効果と安全性を高いレベルで両立させて参ります。

当院の多血小板血漿(PRP)注入療法に関する学会発表

  • 細胞成長因子添加自己W-PRP(白血球含有多血小板血漿)注入療法の治療経験
    第28回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 2010年8月
  • 細胞成長因子添加自己W-PRP(白血球含有多血小板血漿)による上眼瞼陥凹に対する治療経験
    第29回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 2011年9月
  • フラクショナルレーザーとbFGF添加白血球含有多血小板血漿を併用した治療の検討
    第31回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 2013年8月
  • フェイスラインの引き上げを目的とした、白血球含有多血小板血漿(自家)による皮膚再生療法の治療経験
    第38回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 2020年9月

PRP単独療法、成長因子添加PRP療法について

未承認医薬品等
この治療は国内における「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則り、厚生労働省から許可を得ている治療法です。治療に用いる製剤(フィブラストスプレー)は、国内で承認されている薬剤ですが、この治療法に用いる事は承認されていません。フィブラストスプレーは適応外使用となります。PRP単独療法は、難治性皮膚潰瘍に対し国内で承認された治療法ですが、その他の治療には承認されていません。この為、保険適応外の自費治療となります。
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