にきびの治療
にきびは皮脂腺を有する毛穴を中心とした、毛穴の閉塞や角栓形成から炎症を生じる皮膚科領域で頻度の高い疾患であり、この場合美容皮膚科においては"治す"対象になります。
にきびの原因を多くの方が悩みの中で追求されますが、遺伝による体質的な要素が発症に関与し、個々人のストレス・体調の悪化、季節の変わり目等の影響を受け悪化する傾向にあるため、なかなか原因をはっきりさせる事が出来ません。
疫学上生涯にわたって患う病気ではありませんが、10代から40代の方まで何年も再発を繰り返す場合があり、人によっては治療が数年がかりになる場合もあります。
数多くのにきび治療が世界で提案されていますが、日本人の肌質には適不適がある事を私自身これまで臨床の場において経験してきました。
この点を十分に踏まえ、当院ではにきび治療として高い改善効果が期待出来、且つにきび治療だけにとどまらない付加価値のある治療を厳選してご提案しています。
なお、一部の外用薬や内服(ビタミン剤・抗生物質)はにきび治療に健康保険の適応がありますが、当院での治療は保険での認可がされていない治療中心となりますので、混合診療の観点から全額自費治療となっております。

ホルモン療法
毎月繰り返しにきびの新生にお悩みの女性には、繰り返すにきびの負の連鎖(にきびが治らないうちに新しいにきびが出来、更に治りにくい肌質に変化していく悪循環)を断ち切る目的で、ホルモン療法を第1選択肢としてご提案しています。
性成熟期の女性の方で繰り返しにきびに悩まされる方の原因に、活性型男性ホルモンの強い関与が推定されています。男性ホルモンの活動を軽減する目的でトライして頂きたいのが低容量ピル(OC)療法です。
低容量ピルは本来避妊薬として開発されましたが、避妊効果以外の多くの副効能が判明し、海外においては女性の難治性にきびの治療薬として古くから頻用されています。
自分自身これまで多くの女性の方に低容量ピルを処方して高い効果を確認しており、日本人への効果と安全性、そして治療コストの面からも、非常に優れた治療選択肢の1つと考えています。
経過良好であれば、数ヶ月の内服を続けていただく事で、新しいにきびの出現個数が減少するだけでなく、赤く腫れた炎症性にきびも減ってきます。そして、結果として患部の肌の安静が促される事にも繋がり、にきびで痛んだ肌が修復されていくという正の連鎖を辿っていく事が可能です。
ホルモン療法はピル以外にもスピロノラクトン療法等が存在しますが、ピルの安全性と、高い避妊効果・生理周期を規則的に調整する・生理痛の緩和等を加味すると、女性の生活の質:QOL(Quality Of Life)向上効果は他の治療よりも非常に大きいと思っています。
低容量ピルには幾つかの種類がありますが、当院はにきび治療に適している成分が配合されているマーベロンを採用しています。治療プログラムに関しては一定の評価期間や方法がありますので、診察時にお話しします(なお、生理[月経]周期が確立されていれば中学生や高校生でも治療は可能です)。

サリチル酸マクロゴール
日本において治療の安全性と有効性に関して、きちんとした検証がなされているケミカルピーリング剤です。医療機関専用の薬剤で、施設毎に治療効果に差が出る事無く安定した治療がご提供出来ます。
私自身が治療に取り入れた数年前はまだ一部の医療機関でしか行われていませんでしたが、学会などを通じて医師の間で評価が年々高まり、皮膚科クリニックや美容外科等多くの施設で行われるようになってきました。
サリチル酸マクロゴールが高い評価を得ているのは、高濃度グリコール酸と同等のにきび治療効果を発揮しながら、治療後の副作用がきわめて少ないという極めて高い安全性にあります。
薬剤の大部分は表皮角質層と毛孔の角栓除去に作用し、高濃度グリコール酸使用時に起こり得る強い皮むけやかさぶたが生じる事はまずありません(数日間の部分的且つ僅かな皮むけ程度です)。
基本的プログラムとして、最短で1ヶ月に1度この治療を受けて頂く事で、にきびの改善だけでなく、にきびの出来にくい肌質形成やにきび跡の修復が促進し、赤みや色素沈着の改善を段階的に行っていく事が可能です(陥凹性瘢痕[クレーター]はレーザー適応です)。
日本人はトレチノインやアダパレンといったにきび外用薬が、刺激や過剰な皮むけといった副作用で使用出来ない方が大勢いらっしゃいますが、サリチル酸マクロゴールであれば、余程重度の皮膚バリアのダメージがある肌でない限り治療を継続していただけます。
以上の利点を有し、にきびになりにくい肌質にしていく事が可能な治療ですが、ホルモン療法を組み合わせないと新生にきびのコントロールが十分出来ないケースもあり、症状に応じた適切な治療の組み合わせが推奨されています。
なお、当院では原則として、にきびや皮脂腺由来の肌トラブル治療の方のみにサリチル酸マクロゴールの処方をご提供しております(これらの治療以外の目的には、当院の他のレーザー・光治療が優れています)。
治療は説明書に従い自宅にて行って頂きます(クリニックで施行した場合、人件費や設備等の問題から治療費を設定する必要がありますが、自宅での治療であれば1回あたりの治療費を安価に抑える事が可能ですし、患部のみ治療出来ます)。

レーザージェネシス
低容量ピルは新生にきびの抑制には非常に優れているのですが、出来てしまったにきびの改善や長引く慢性的な赤み、色素沈着に対しての速効性は残念ながらありません。よって、このような症状の改善をより希望される方は、ホルモン療法やサリチル酸マクロゴール、APPS等の外用薬と併用しながらクリニックにてレーザー治療を行っていきます。

APPS(高浸透型ビタミンCローション)
外用可能なビタミンC製剤の中で、現在最も皮膚への浸透が高いと評価されるAPPSを自宅でのスキンケアに併用する事で、にきびでダメージを受けた肌の修復を促し、上記の治療を補っていきます。
ビタミンC外用は毛穴の異常角化を抑制する作用も持ち合わせていると考えられていますし、皮脂腺の活動もある程度は封じ込めますので、レチノイドやアダパレンといったにきび治療の基本外用剤が副作用から使用しにくい方の治療として十分な働きが期待出来ます。
ビタミンC外用は紫外線や喫煙による皮膚のしみ・しわの悪化に、抗酸化作用を介して予防する効果があるため、にきびだけに限らない恩恵を皮膚に与える事も期待出来ます。

紫外線予防
しみやしわに対する紫外線の関与並びに日焼け止めの有効性に関しては、多くの方の美肌維持に必須の知識として定着した感がありますが、にきび治療にきちんと日焼け止めを使用する重要性に関しては、まだ十分に浸透しているとはいえません。
紫外線を浴びる事により大量の活性酸素が皮膚内で産生され、皮脂の酸化が促されにきびは悪化します。
肌の老化進行を食い止める為にも、紫外線予防は男女問わず是非行っていただきたい治療です。

炭酸ガスレーザーによる排膿・消炎処置
日本皮膚科学会のにきび治療ガイドラインでは、詰まってしまった皮脂や膿を器具で押し出す処置を、有効な治療法の1つとして推奨しております。当院ではこの処置に炭酸ガスレーザーを用いています。
炭酸ガスレーザーで閉じてしまったにきびの患部に微細な穴を開け、皮脂や膿の排出を促すと共に、炭酸ガスレーザーの瞬間的な熱効果により照射部周囲の消炎が期待出来ます。
抗生物質が効きにくいにきびで悩まれている方や、にきびの治りにくさを普段感じられている方に推奨される治療法です。

クリンダマイシンローション
皮脂の酸化によるにきびの悪化や、炎症を強く生じた赤にきびを鎮静するローションです(先発品はダラシンローションと呼ばれています)。
ビタミンCローションやサリチル酸マクロゴールと併用する事で、にきびの悪化を抑制していきます。